「真珠と恋人になれたら、色々したい事があったんだよ。
一緒に旅行にも行きたいし、会社に二人で堂々と出勤もしたいし、何より真珠を抱きたかっ……いてっ」
滑らかな口調で話す司に向かって身を乗り出すと、その頭を一発叩いた。
「おい、何するんだよ、痛いだろ」
驚く司を無視した私は、隣にいる恵菜ちゃんにこっそりと視線を送りながら。
「何言い出すのよ、恵菜ちゃんがいるんだから言葉には気を付けてよね」
抱きたかったって言おうとしていたんだろうけれど、そんな言葉恵菜ちゃんに聞かせられない。
もう少し気をつかって欲しい。
「んー。恵菜が理解するとも思えないけど、気を付けるよ」
にやりと笑った司に気を付けるつもりがあるのかないのか、よくわからないけれど、とりあえず目で牽制してその話題は終わりにした。
「真珠が俺のもんになって、お互い何でも分け合えるようになったら、あれもしようこれもしようって思ってたんだよな。
その中には、真珠が俺の事を知って驚いて欲しいってのもあってさ。
俺がどれだけ真珠を好きなのかを知って愕然として欲しいし、その気持ちを俺にも返そうともがけばいいとも思ってたし。
そういう事って、そういう事だ」
あっさりと言い切って手元の煮物に箸を伸ばす司を見ながら、今聞かされた事を
頭で繰り返した。
私の事をどれだけ好きか……もがけばいい……。
うー。
あまりにも甘すぎる言葉に体中がきゅーっと縮んでいくように痛い。
俯いて、自分の体を抱きしめるようにその痛みを逃していると。
「えな、ここにいちゃだめなの?」
はっと隣を見ると、いつの間にか箸を置いて、私と司を交互に見ている恵菜ちゃん。
その瞳はうるうる揺れていて、私たちの言葉に傷ついているように涙も浮かんでいた。

