これまで見た事がないほどに弱々しくて自信のないその顔は、それでも整っていて、はっとさせられるほど。
そんな事を考えて、やっぱり格好いいなと思ってしまう自分に、あきれるけれど、どう見ても好きだと確信して。
「こんな女々しくて真珠の事だけで勝手に揺れてるいっぱいいっぱいの俺だし。美香の事でも、もしかしたらこれからも複雑な気持ちにさせるかもしれない。でも、真珠を幸せにするって決めてるから、それだけを信じて俺と結婚してくれ」
司はそう言った途端に私をぐっと抱き寄せて、苦悶している吐息を私の首筋に落とした。
「真珠の温かさを手に入れた後で、今更手放せない」
くぐもった声が耳元で響いて、その刺激は私の体にずんと染み渡っていく。
どこか震えているような指先にも、私の耳元に口づける熱にも、そして、合わさった胸の鼓動の速さにも。
『愛している』
そんな感情が浮かび上がるようで、私は全身でその幸せに浸ってしまう。
どんなに愛されていると理解しても、たとえ言葉でそう伝えられても、今ほどの大きな感情のうねりは感じたことはなかった。
愛し合っていると、心を寄せ合っていると、確認した私達だったけれど、ここまで司が私に執着してくれているとは思わなかった。
いつも美香さんの存在をその向こう側に意識しながらの付き合いをしていた私達には、自分たちの気持ちを抑える事に慣れ過ぎていたから。
「やっと、司のものになれたって実感できた……」
縋り付くように司を抱き返して、私の思いをその胸に告げた。
私が司を愛する事で、司を幸せにできる事ほどの幸せはないし、逆もまた同じ。
「愛してるよ、これからも、ずっと」
何があっても、何を捨てても。

