女王様のため息



真面目な顔で、真面目な声で言う海に、思わず私も真面目に答えて。

「絶対に来ないで。父さんも母さんも今回は顔を出さないのに、海が来たらそれこそおかしすぎる」

「……そうだよな」

カウンターにがっくりと両手をついて肩を落とす背中を見せられると、本気で私についてくるつもりだったんだとわかって、おかしくなる。

ずっと私の傍らで私の事を見守ってくれていた海。

司との関係の紆余曲折も、ほぼ完璧に私から聞かされていたから、やっぱり結婚となると、何かと思うところもあるのかもしれない。

そんな海に存分に甘えて頼り切っていた私は、海がここまで心配してくれている様子に

『やっぱり』

と納得してしまう部分もあったりするし、それを心地よく思ってしまうずるい女の部分もあって。

海への思いは、司とはまた違う部分での最上級のもの。

運命が何かのきっかけで少しでもずれていれば、もしかしたら。

私と海は同じ指輪を左手薬指にはめていたのかもしれない。

高校時代からの知り合いだし、大学時代に学生結婚なんかして、今の年で離婚も経験しているかも?

なんて、ありえない事だけど想像してにやりと笑ってみたり。

……そのくらいのずるさは、持っていてもいいよね。