「親戚なんだろ?さっきも電話かかってきてたし、仲がいいんだから頼んでみろよ。彼の写真なら女の子に受けるの間違いない」

淡々と諭す司にどう言葉を返せばいいんだか。

確かに海は格好いいし、高校時代から女の子にはかなりもてていた。
本人だってそれを楽しみながら適当に遊んでたし、自分が周囲の女の子からどう見られているのかはちゃんと自覚してる。

司がだめなら、海って……私にとっては違う意味も含まれていて、なんだかなあと思う。

「多分、私が頼めば海はいいって言ってくれるんだろうな……彼はそういうの楽しみそうだしね」

肩をすくめて笑顔を作る。自分の本音はそっと隠して。そんなの慣れてるし。

口元をあげて笑って、ちょっと首を傾げる。目の前のこの男に知られたくない思いを忘れて、ラーメンに意識を集中させた。

そして。

「週末、海と会う事になったから、頼んでみようかな」

さっき行列に紛れてる時にかかってきた海からの電話で、無理矢理させられた約束は、今日のコンパを放棄した私への怒りの言葉と、週末奢れという命令だった。

いつまでも子供みたいな海の口調を思い出してつい笑顔になる。