「お、おい、何するんだよ。突然」
「ん?見たまま、写真とったんだけど。……その整った司の顔の写真を一枚1000円くらいで売っちゃおうかな」
ふふん、と笑ってデータを再生すると。
じっとこちらを見つめる司の整った顔があった。
どこか艶っぽい表情が強く自分を射るようでたまらない。
「……すごく格好よく撮れてるよ」
ほら、と画面を司に見せると、彼は本気で怒ったように眉を寄せて
「真珠っ、今すぐ消せっ。そんな写真ばらまくなよ」
言うが早いか、私からスマホを取り上げようとする司の手をよけて、抱きしめるように体にそれを隠した。
「だめ、だめだよ。これは後輩が言う事聞かなかった時の最後の武器にするんだからね。『この写真が欲しかったら今すぐデータ入力仕上げなさい』とか言ってやるんだから、だめ。絶対に消さない」
「真珠っ」
荒い息で怒っている司だけど、この写真はどうしても死守したい。
この先仕事をうまく進めていく武器の一つとして活用するんだから、大切にしなくちゃね。

