「確かに、俺は変なのかもな。美香とのこれからに不安もあるし、美香に何かあったらきっと駆けつけるだろう自分もよくわかってるし。
あー、惚れた女を口説くにしては、やっぱりおかしいか」
にやりと笑う司。
そのにやりが、なんだかむかつくんだけどな。
私の苦しい気持ち、無視されているみたい。
「でもな、真珠がどんなに不安で、これから切ない気持ちばかりを抱えて、いつ俺を他の女に取られるかってイライラして。
きっと、しばらくは穏やかだけの付き合いはできないと思うけど、そんなつらい思いなんか関係ないくらいに幸せにしてやる」
私の頬に、司の手の甲が触れて優しく上下する。
しばらくその体温に気持ちを寄せながら、司が今言ってくれた言葉を理解しようと見つめ返した。
ぶれない瞳が、本当に悔しい。
「この先、真珠が俺と付き合った事を後悔するのは確実だ。
俺以外の男と付き合えばあじあわずに済む苦しみを、抱えるのも絶対だ。
でも、そんな時は思いっきり後悔していいし、腹の立つ思いを全力で俺にぶつけてくれていいから。
俺は、真珠が背負う苦しみを覆い尽くすほどの愛情で、真珠を幸せにしてやる。
自分の選択を後悔する真珠ごと、必死で愛してやる。
だから、とにかく手放さない。
文句を言いながら、泣きながら、それでも俺を愛してくれ」

