女王様のため息



私の言葉は、司の気持ちに突き刺さったようで、『そうだよな』と口にしたまま、司は何かを考え込んでしまった。

私には、そんな司の落ち込んだ様子がたまらなくつらくて、申し訳ない気持ちもあるけれど、どうしても、美香さんへの不安を隠したままで司に自分の全てを委ねる事は無理だとわかっている。

何か負の部分を抱えて、それを曖昧に受け入れたままでの恋愛が長続きするのかどうか、自信がない。

こうして私が司との距離を縮めようとしない状態を続ける事で、司が私を諦めたなら、どうしようと、それも心にちらついて落ち着かなく、苦しいけれど。

自分の気持ちの揺れ幅についていけなくて、意味なく疲れる。

そんな疲れた体を持て余したため息がつい口から出て、司がくすっと笑った。

そして、思いがけなく明るい声で。

「申し訳ないけど、どんなにため息をついても、どんなに不安になっても、俺は真珠を手放したくはないし、一生愛したい」

そんな声に違和感を感じて視線を上げると、まだまだ苦しそうな瞳をしているけれど口元には小さな笑みを浮かべている司の視線と絡み合った。

「司……」

「美香と俺との関係はまっさらになったわけじゃないし、繋がりが全て切れたって事もない。
新しい恋人との関係が不安定になった時には俺を頼ってくるかもしれない。
まあ、一度や二度はそういう事もあるだろうと覚悟してる。
そんな時にはきっと、真珠を巻き込んでしまうだろうし、一時的には美香をフォローしに行くと思う」

やっぱり……。

私を見つめながら、しっかりとした口調で話す司はどこかすっきりしていて、それもちょっと悲しい。

私の切なさをわかってくれてないような気がして、泣きそうだ。