女王様のため息


私の質問には苦笑しただけで何も答えなかった。

いつも、そうだ。

彼女の話を振ると、何も答えずに話をそらす。

学生時代から付き合っているらしい彼女の事、なかなか教えてくれない。

きっと、同期の中で彼女に会った事があるのは一人だけだ。

司の大学時代からの親友か悪友か、高坂君だけ。

高坂君にしても、『司の彼女?うーん。可愛いとしか言いようがないな』

そうあっさりと呟くだけだった。

「この店にあいつと来たことはねーよ」

私の頭上から聞こえた声にはっとする。

ぼんやりと司の彼女の事を考えて意識が飛んでいた。

「あ、そ、そうなんだ」

ははは、と笑ってそんな自分をごまかした。

「司って人気あるのに謎な部分が多いから、色々情報を聞き出して後輩の女の子たちに売っちゃいたいのに。口が堅いね」

そう言いながら、はっと気づいて鞄からスマホを取り出した。

何をするんだ、と首を傾げる司にスマホを向け、『カシャツ』。