文化祭当日。
恐ろしいことが、私の身にふりかかろうとしていた。




「…え!?だって私、嫌だって言ったじゃん!」

「しょうがないでしょ?クラスみんなやってるんだから」


私は、お化け屋敷の装飾がなされた教室で、猫セットを着るか否かを小夜と言い合いをしていた。


「でも、もっと他のだって――」

「凛は猫娘に決まったの。準備の時、あんたが風紀の委員長と消えた後に、クラスでそう決まったの!」

「そんなの知らないんだってば!」


私が必死にそう叫ぶと、小夜は腕を組んでため息をつく。




……アレ?

これは、もしや――




しかし、小夜は私の期待を裏切る言葉を放った。


「恨むんなら、あのタイミングであんたを連れ出した委員長を恨むんだね」

「え、」

「さ、早く着替えておいで」

「……もう、嫌だ…」


私の悲しい呟きは、誰にも聞かれることなく小さく響いた。