「凛ちゃん、ごめんね。…薫、凛ちゃんにもうちょっと優しくしてあげなよ?」
個性的すぎる風紀委員の中で一番まともな雅矢くんが、私のことをかばってくれた。
たぶん私は、雅矢くんがいなかったら、風紀委員にかなりストレスを感じてると思う。
すると風紀委員長、水瀬薫は。
「はいはい、まあ考えとくよ」
「な、何その適当な応え!?」
あまりの水瀬の心のなさに、私は叫んでしまった。
眉間にしわを寄せて、水瀬を睨むと。
「そんなことしても、全然怖くないから」
「…!」
水瀬は、私を冷ややかに見下し嘲笑した。
私の頭にさらに血がのぼる。
「り、凛ちゃん、落ち着いて!薫も謝って!」
雅矢くんの必死のなだめも聞こえない。
怒りを身を任せて、水瀬を罵声を浴びせようとした、その時。
「やっほー!仕事してるかい、仲間たち!」
扉の開く音と同時に、金髪頭の風紀委員、尚人が威勢良く視聴覚室に入って来た。
その間延びした声に、私は気が抜けて怒りが沈んだけど。
「尚人!あんたはいつになったら、真面目になるわけ!?副委員長でしょ!?」
「きゃー!早菜ちゃん怖いー!」
代わりに早菜さんの怒りの雷が落ちてしまったようだ。
私はため息をついた。
私のこんな騒がしい生活の原因は、全部風紀委員長の水瀬薫にあるのだ。
つい、このきっかけとなった時のことが、頭に思い出された。