「あぎゃー!ちっ、遅刻ーっ!」


まだ朝早い静かな住宅街。
そんなところに不釣合いな悲鳴が響いた。




「な、なんで今日に限って…!今日は…っ」


私は一人でブツブツ文句を良いながら、急ぎ足で身支度を整えていた。
でもそうすればするほど、焦ってしまって早く終わらない。


「あーもう!またあのサディストの雷が落ちるー!」


周りのことも考えずに、叫びつつ階段を降りると、いきなり不機嫌そうな顔が目の前に現れた。


「うわぁっ…!?び、びっくりしたー…」

「朝っぱらから叫んでる凛が悪い」


目の前のお方の最もな言葉を聞いて、私は何も反論出来なかった。


「…ごめんなさい」

「分かればよろしい」

「ははっ、ありがと、葵」


私はあっさり許してくれる彼に笑って、お礼を言った。