コンコン


「はい、どうぞー?」


扉をノックすると、中から間延びした声が聞こえ、俺は乱暴に扉を開けた。
出迎えたのは、視聴覚室の俺と同じように、奥のいすに座る奴。


「あれ、薫くんか。意外だな…」

「そうでもねぇだろ」


生徒会室のいすに微笑しながら堂々と座る坂下に、多少イライラしつつも冷静を保つ。


「まあね。薫くん、もしかしたら来るかなって思ったけど。言いたいことも予想できるし」


目を合わせようとしない坂下を、俺は一秒たりとも見逃さない勢いで睨みつける。
そして、すぐに本題に移った。


「お前、うちの雨宮に何かする気か…?」

「“うちの雨宮”?ははっ…、随分親しそうだね」


坂下はそう言って、やっと俺と目を合わせた。