散々注目を浴びた末に、無理矢理連れて来られた場所は、もう見慣れてしまった。
視聴覚室。
そこは、風紀委員会の活動拠点。
カチャ、と奴がその扉を開けると。
「薫!凛ちゃん!二人とも遅いから!」
まだ私達と顔を合わせてないと言うのに、見事に名指しで怒鳴る声が聞こえた。
風紀委員唯一の2年生の早菜さんの声だ。
「…私、まだ風紀委員に入るだなんて一言も言ってないのに」
ボソッと私が独り言のように呟くと、即座に。
「だから、お前が何と言おうと決定事項なんだよ」
大嫌いな奴、風紀委員長が振り向いて、憎たらしいほど整った顔とは全く似合わない暴言を吐いた。
風紀委員は、全部で5人。
一応、無理矢理入れさせられた私を入れたらだけど。
私の学校はちょっと変わっていて、生徒会と対になる風紀委員会という委員会がある。
もちろん生徒会と対になっているから、他の委員会とは扱いも違う。
なんでも何年か前に、生徒会長が暴走して自分勝手な学校改革みたいなものを始めたらしく、それからそんなことがないように、風紀委員会が作られたみたい。
まあ、そんなことはどうでも良いんだけど。