「さっきは、ごめんね。取り乱しちゃって……」



ベンチに空いた2人の微妙な隙間と微妙な空気には、少し気まずいものがある。



何とかこの状況を振り払いたくて、思い切って、当たり障りのないことを言ってみた。



「いや、大丈夫だよ。それより、二条は大丈夫だった?何か、体育の時と同じような感じだったみたいだけど……」


「体育の時、私はどうなってたの?よく覚えてなくて……」



いろいろと起こった“初めての出来事”で、自分が保健室にいた理由のことなんてすっかり忘れていた。



「いや、僕がバレーボールを頭にぶつけちゃったんだけどね。その直前に、何か、目を押さえて蹲ってたみたいだったから……。
危ないって声は掛けたんだけど、気付かなかったかな?」


「うん、ごめんね」