「幸香!大丈夫? そんなに痛かった?」



心配そうな声を出して私の肩に触れてきたナナに、吐き気がした。



「……らな、で……」


「え?」


「触らないで……!」


「ちょっと、何言ってるのよ、幸香」



相変わらず馬鹿みたいな演技を続けるナナに嫌気がさす。



でも、痛くて目を開けられない私には、何もできない。




「触らないで、どっか行って。どっか行って……!」


「ちょっと、人が親切にしてるのに……。幸香、それはひどいよ」


「そうだよ。ナナに謝ったら?」



一緒にいたもう1人の女子高生だろうか。



何も知らない彼女には、そう言われても仕方がないかもしれない。



でも、中学時代の記憶と今感じている痛みで、私はもう限界だ……。



そう思っていたところで、私の肩にナナとは違う、少し大きな手がふわっと置かれた。