「……アスカを利用するなんてサイテー。」
俺らの話を聞いたチカの最初の一言だ。
まぁ…何を言われても仕方ないけど。
「けど、俺らは諦めねーよ。」
リョウが口を開いた。
「俺らは事情を知った。だから……捕まるような事をしてでもその子を助けなきゃなんねーだろ。」
そう言ったリョウがかなりかっこよく見えた。
…俺らが200万を使い切ってなかったら、もっとかっこよく見えたんだろーけど。
それでもリョウの言葉はチカに響いたらしく、チカは黙り込んでしまった。
「…まぁ、そーゆう事だ。俺らにはやる事がある…だから、チカは帰れ。」
ワタルは静かに、だけど強い口調で言った。
「……アスカは?」
「帰さねぇよ。」
そこで会話が途切れる。
「なぁ、アスカちゃん。」
長い沈黙を破ってワタルが口を開いた。
ワタルの呼び掛けに、俯いていたアスカちゃんが顔を上げた。
「200万は俺らが働いた時に返してくからさ、今は協力してくれ。…頼む。」
そう言ってワタルが頭を下げた。



