「………はい?」
ワタルの顔は困惑に満ちている。
「……うちに娘はいない?」
はい?
「…すいません、間違えました。」
へ?
ワタルはそう言って携帯の電源を切った。
「…なぁ、お前まさか……」
まさかのまさかだけど…
「……掛けるとこ間違えた。」
「はぁぁあ!!!??お前バカか!?バカだろ!?」
「うっせぇ!!知るか!!あっちの電話番号が変わったんじゃねーの!?」
「んな訳ねーだろ!!貸せ!!」
俺はワタルの携帯を奪い取り、通話履歴を見た。
履歴に残った番号と俺がメモしてきた会社の番号を照らし合わせる。
「………お前、最後の数字思いっ切り間違ってんじゃねーか…。」
本当は最後の数字が『9』なのに…
「……なんで『6』なんだよ?」
「……もしかして俺がメモってきた紙が間違ってたのか?」
ワタルはそう言ってポケットから紙を取り出した。
そこには番号が書き留められている。
「アキラのメモした番号も見せて。」
「…ほい。」
「さんきゅ。」
ワタルは交互に紙を見た。



