「………。」
「………。」
2人の間に沈黙が流れる。
そして…
「あ、もしもし?あんた社員さん?」
電話が繋がった。
ワタルが普段とは少し違った話し方で喋り始めた。
「あっそ。社長さんと電話変わってくれない?」
いったいどんな会話をしてんだろ…。
「忙しい?ふーん……あんたんとこの社長の娘が一大事なんだけど、いいんだ?」
落ち着いたワタルの話し方に俺は背筋が寒くなった。
「信じるも信じないもあんたの勝手だけど……娘さん、死ぬよ?」
怖ぇ…。
「……最初からそうしろよバカ。さっさと変われ。」
「………。」
「………。」
再び沈黙が流れる。
しばらくして…
「あ、社長さん?」
どうやら社長に変わったらしい。
「あんたの娘さん預かってんだけどさ、返してほしかったら200万用意しろ。嫌なら別にいいけど……殺すから。」
こいつマジで殺しそうだ。
「……冗談じゃねぇって言ってんだろ。あんた頭悪いの?…………え?」
急にワタルの顔色が変わった。



