「なら…俺とヨシトが身代金を取りに行くって事で…」
「ダメだな。」
今度はリョウが反対した。
「…なんで?」
「身代金を要求するぐらいだ、警察もどっかで待機してるかもよ。犯人を捕まえるチャンスだ、とか言ってさ。」
「なにが言いたい訳?」
「もし警察に見つかった場合、切り抜け方が大事になってくる。」
「…?」
「簡単に言うとワタルはウソをつくのが下手だ。」
「……はい?」
「ワタルじゃ警察に見つかった時の言い訳が出てこねーよ。俺は違う、すぐに出てくる。」
「…なるほどね。」
要はウソをつくのがうまいリョウなら、警察に何か言われても切り抜けられるってか。
「分かった。身代金を取りに行くのはヨシトとリョウだ。」
ワタルは少し渋りながらもその提案を呑んだ。
「後は特に決める事はない。」
「よし。」
「ぜってぇー成功させるぞ。」
「あぁ。」
「失敗したらぶっ殺すからな。」
「お前もな。」
ピンポーン…
緊迫感が高まりつつあった俺たちに更なる緊迫が押し寄せた。
「……来たぞ。」



