「警察には何も話さずに自分たちだけで犯人と交渉してたらしいんだ。」
「…どんな?」
「さっき黒いカバンの事を話しただろ?実はあれは身代金で…」
「身代金!?」
「そう。身代金をここに置いておけば娘を返してやるという交渉だったんだ。」
「それって、い…いくら?」
もう言われないでも予想はつくけど…。
「この人の話だと……200万らしい。」
終わった。俺たち終わった…。
他の3人も同じ気持ちだろう。
空を仰いだり頭を抱えたりしゃがみこんだりしている。
「…どうしたんだい?」
「いや、あまりにも衝撃的で…。」
「うん、そうだろうね。」
おそらく警察の頭に浮かんでる衝撃的と、俺たちの頭に浮かんでる衝撃的とでは内容が全然違うだろうな。
「まぁ…見ての通りなんの証拠もない。正直困ってるもんだからさ、君たちの友達にも聞いてみてくれないか?」
「は…はい。」
もう警察の言葉は全然頭に入ってこなかった。
と、その時だ…ワタルが口を開いた。
「娘さんは…どうなったんですか?」



