「なんだオメーら?」
オッサンはさっきよりも怒気を含んだ声で話し掛けてきた。
んー…なんかその筋の人っぽいな。
よし、聞いてみるか。
「あのー、僕の友達が捕まってしまったんですけど…。」
「………。」
オッサンは何も言わないが、話を続ける事にした。
「それでツルツル頭のオッサンがその友達の所まで案内してくれるって聞いたんですけど…あなたですか?」
「……誰がツルツル頭のオッサンじゃ。」
「……いや、あなたが。」
「…………。」
よっぽど【ツルツル頭のオッサン】という言葉が気に入らなかったのか、目の前のオッサンは黙ってしまった。
「…………。」
俺たちの間に短い沈黙が流れたが…
「まぁ…それはワシや。こっち来い…案内したる。」
その沈黙を破ったのはオッサンだった。
目的の人物に会えた事にホッとした俺たちは、歩き出したオッサンの後を付いていった。
「…ワシはまだ20代じゃボケ。」
なにやらオッサンはぶつぶつ言っているが、適当に流した。



