「まぁ50万なんて手にした事なかったもんなー。逆に浮かばねぇよ。」
ワタルはうんうんと頷いた。
「ワタルはどーするか決まってんのか?」
「俺?…まぁな。言わねーけどな。」
「…ズリーぞ。」
人には聞いといて自分は言わないのかよ…。
「まぁいいじゃん。てか、暗くなったし帰ろーぜ。」
言われて気付いたがすっかり空は闇に覆われていた。
「そーだな…帰るか。」
「じゃあまた明日な。」
「おー。」
「明日どーする?」
「リョウの家でいいんじゃねー?」
「えー俺んち来るのかよ。」
「ダメなのか?」
「んー?別にいいよ。」
「なら明日1時にリョウんちな。」
「おーらい。」
「じゃっ、また明日。」
「おー…じゃーな。」
明日の予定を軽く決めた俺たちは各々の帰り道を歩いていった。
「……怖ぇ〜。」
帰り道。
すれ違う人たちみんなが50万を狙ってる気がする。
宝くじが当たった人もこんな感じなのかな…。
とにかく…
盗られる前に全部使っちまわねーと。