「空、見てみろよ。」
カズさんに言われて空を見ると…
「スゲー…。」
太陽に劣らないくらいに輝く月と、空一面に散りばめられた星が目の前に広がった。
「綺麗に輝く星を見てるだけで悩みなんてふっ飛んじまう……スゲーよな、空は。」
「…ロマンチスト、ッスねカズさん。」
「はは、俺はこーゆう空が大好きなんだ。」
しばらくの間、沈黙が流れた。
その沈黙が今までの事を思い出させてくれる。
「ホント…あり得ねぇッスよ。」
自然とそんな言葉が口から出た。
「いきなり200万が目の前に現れて、あっという間に無くなって、誘拐して、警察に追われて。……ホント、あり得ねぇ夏だった。」
「でも楽しかっただろ?」
カズさんの言う通りだ。
あんなに大変な毎日だったのに、どれもこれも思い出す度に笑える。
「お前たちが羨ましいよ。」
「そーかな。」
『そーさ。』
カズさんの声とは違う、聞き覚えのある声が響いた。
「…ワタル。」
「ヨシトの唸り声がうるさくて目ぇ覚めちまったよ。」
「ははは。」
「…けど、ホントに俺はそう思う。こんな体験、もう2度と出来ねぇぞ。」
ワタルはそう言って空を見上げた。



