「あ…シャワーありがとうございました。えっと……。」
「カズ。」
チカの疑問を見透かしたかのようにカズさんは自分の名前を言った。
「カズ…さん、って……あれ?」
名前を聞いたチカが何か考え始めた。
「…どーしたチカ?」
「いや、なんか…どっかで聞いたことあるよーな……?」
「ねーよ。会ったことすらねぇんだから俺たち。」
チカの言葉をすんなり否定したカズさんは言葉を続けた。
「おら、お前ら行くぞ?」
「…行くって?」
アスカちゃんが首を傾げた。
「あー、俺がお前らの街まで乗せてってやるって話だ。」
「ホントですか!?ありがとうございます♪」
アスカちゃんはそう言って外へと出ていった。
「…さて、お前らも乗るしかねーぞ?」
カズさんは怪しげな笑みを浮かべながら外へと出ていった。
「…どーすんだよ?」
「もうアスカちゃんは行っちまったんだ……俺たちも行こーぜ。」
「……もうなるようになれ、だ。」
もう覚悟は決めた…。
「俺はカズさんを信じるぜ?」
リョウが小さな声で言った。
「なんで?」
「勘だ。」
リョウは自信満々に言い切る。
「…けど、お前の勘は当たらねぇんだよなー。」
ヨシトはため息混じりに言った。
「とりあえず、乗せてってもらおーぜ。何かあったらそん時はそん時だ。」
「だな。」
それしかねぇ。
てか…
「どーしたんだよチカ?」
チカはさっきからぶつぶつと口を動かしながら、こんな事を言っていた。
「絶対に聞いた事ある…。絶対に聞いた事あるって、カズさんの名前。」
と。



