「まぁ信じろって言う方が無理だな。」
俺たちの会話を聞いていたカズさんがそう言った。
「……。」
その言葉にどう返事していいのか分からない俺たち。
「はぁ…なんか喋れっての。」
ため息をついたカズさんは、ゆっくりと立ち上がり台所へと向かった。
そんなカズさんを見ていた俺たちは…
「お…おい、包丁とか持ってくる気じゃねぇだろーな?」
「……んな訳ねぇだろ。」
「いや、もしかしたら…。」
「こーなったら、ブッ飛ばすか…?」
「まだ気が早ぇーよ…。」
いろんな憶測を頭の中で巡らしていた。
と、その時…
カチャ…
不意に後ろから音がした。
驚いた俺たちが振り返ると…
「……なによ?」
チカ達がいた。
「……んだよ。」
「驚かすなっての…。」
「おい、お前ら。」
今度はカズさんの声がした為、俺たちは勢いよく後ろを振り返った。
「…何びびってんだよ?」
カズさんが呆れたように言う。
「……いや、別に。」
大して何の変化もないカズさんを見た俺は、気を張り巡らしていた事が馬鹿馬鹿しくなった。
「…まぁイイか。それより、車乗れよ。街まで連れてってやるから。」
「俺たちは話に乗る訳じゃ…」
「100万の話は無しだ。お前らは自分達の好きなよーにやればイイ。」
「え…?」
「ここで会ったのも何かの縁だ。せめて何か1つだけでも俺に協力させてくれよ。」
そう言ってカズさんはニコッと笑った。



