「……あぁ、社長さんですか?」
ワタルの携帯を受け取ったリョウが、アスカグループの社長に電話し始めた。
「あんた……警察に連絡するなってワタルから言われなかった訳?」
リョウは静かに話しを続ける。
「今更言い訳しても遅ぇーんだよ。あんたが最初に約束破ったんだからな、覚悟しとけ。」
「あ?何するって…決まってんじゃねーか。娘を殺すんだよ。……嫌だ?なめた事言ってんじゃねーぞ!!」
リョウは最後にそう叫んで電話を切った。
「ふぅ〜…スッキリした。」
リョウは大きく背伸びをしながら、満足したような表情を浮かべた。
「…リョウが自信満々に手ぇ挙げたからよ、俺はてっきり何か策があるもんだと……」
「ねーよ。ただ…」
ワタルの言葉を即座に否定したリョウは、さらに言葉を続けた。
「ムカついたんだよ……娘の命と金のどっちが大切だと思ってやがんだ……クソッ!!」
リョウは行き場のない怒りを…地面に転がっていた石にぶつけた。
成す術なくコロコロと転がり続ける石。
「アスカちゃんには悪いけどよ、サイテーの親だぜ…。」
最後にポツリと呟いたリョウの背中は、たった今転がる事を止めた石のように…
小さく、そしてあまりに孤独で…。



