ワタルもヨシトも目の前にある現実が受け止められないらしい。
カバンから目を背け耳をふさいだ。
俺もそうしたいところだが、それ以上に額が気になった。
「…96…97…98……」
淡々と数えるリョウの姿を見る。
「…123…124…125……」
100を通り越したが、カバンの中にはまだまだお札が詰まっている。
そして…
「ふぅ…。」
やっとリョウが数え終わった。
正直カバンの中に入っていた金額に腰を抜かしそうだ。
だけど…
「…はは、とんでもねーな。」
リョウの不安そうな顔を見たら逆に落ち着いた。
不安なのは俺だけじゃないんだな…。
俺は未だに背を向けているワタルとヨシトの肩を叩いた。
体をビクッとさせた2人がこっちを向いた。
「……数え終わった?」
ヨシトも気になっていたんだろう、そう聞いてきた。
「あぁ…。」
「い…いくらあった?」
ワタルも口を開いた。
多分額を聞いたらびっくりするだろうな…
「……200万。」
「200万!?」



