「絶対に次の駅で警察も待ち構えてるだろーな…。」
ワタルはジェルに塗り固められた髪をガシガシ掻きながら言った。
「もう変装も何もねーだろ。」
バレたもんな…。
「着いた瞬間に逮捕なんて嫌だぜ。」
「こーなったら無理矢理にでも突破するしかねーな。」
…だな。
「…出来るか?」
「頑張れば多分…な。チカ……ケチャップどんだけある?」
ケチャップ?
「ん?えっと……10個かな。」
「よし…1人1個ずつ持とう。」
リョウはそう言ってケチャップを俺たちに投げた。
「…お前まさか。」
「これが俺たちの武器だ。ピューッと警察の目にかけてやろーぜ。」
リョウはにっこり笑いながらそう言った。
「…さっきのはまぐれだぞ。でも……何もねぇよりはマシかもな。」
ケチャップを見つめながらそんな事を言うヨシト。
「はは…弱いな俺たち。」
確かに…。
「まぁ、諦めないでいこーよ。」
ちょっとだけ弱気になった俺たちだったが、アスカちゃんのその言葉に背中を押された気分になった。



