普段でさえ中々お目にかかれない諭吉さまが…
カバンの中にびっしりと…
「…とりあえず下置こうぜ。」
「あ…あぁ。」
俺たちは諭吉さまが詰まったカバンを地面に置いた。
「お…おい。これ本物かよ?」
「知らねーよ…。」
やっと落ち着きを取り戻したのか、ヨシトたちはじっくりとカバンの中を見た。
「…どーする?」
「決まってんだろ…交番に届ける。」
それが妥当だな…。
「ちょっ…ちょっと数えてみないか?」
ワタルが恐る恐る聞いた。
「お…俺には怖くて出来ねーよ。ワタルが数えろよ…。」
「え…俺やだぜ。アキラ数えてくれよ…。」
「む…無理無理。」
どうやら3人とも額は気になるが手は出せないみたいだ。
と、なると…
「…リョウ。」
「1…2…3……」
「…………。」
リョウはすでに数えていた。
「…12…13…14……」
リョウの口ずさむ数がどんどん増えていく。
30を越えた頃だろうか、ワタルがボソッと呟いた。
「……見てられねぇ…。」
「……俺も。」



