「あの人間から、なんか得たのか?」

ギラの問いに、サラは鼻を鳴らした。

「フン」

少し苛立つサラの様子を見て、ギラはこれ以上きくのを、やめた。


少し呆れたように、ため息をつくと、ギラは真下に広がる町並みに、視線を下ろした。

この街で、一番高い高層ビルの屋上に、佇みながら、ギラはくしゃみをした。

「…なんて、汚い空気なんだ?軽い毒だろ」

ギラは、高層ビルの側面を見、

「それに、なんだ?この意味のない建物は?我々の世界の人間は、ここまで巨大なものを作ってないだろ?まあ…作ったとしても、すぐに、破壊されるだろうけどよ」

ギラは頭をかき、空を見上げた。

「星も見えないとは…どれだけ汚れているんだ?」

天空の騎士団長であるギラにとって、大気が汚れているのは、許せないことだった。

「ライ様のおっしゃる通りだな。人間だけにすると、世界は汚れる」

ギラは、鼻を鳴らした。軽く町を破壊したい衝動に、かられる。

「リンネのやつは、よくこんな世界に来ようと思ったな」

ギラのぼやきをきいているのか…いないのか…。サラは、ただ町を眺めていた。

「さっさと…大地の女神を見つけ…我々の世界に、戻ろう」

ギラの嘆きを無視するかのように、サラはいきなり…高層ビルからジャンプした。

60階建てのビルを、落ちていく。

「どうした?」

ギラは、サラの動きを目で追った。

地面に激突する寸前に、翼を開き、着地したサラを、ビルから出てきた数人のサラリーマンが、目撃した。

「何だ?」

目を見張ったサラリーマン達の首が、飛んだ。

着地したサラの巻き起こした風は、かまいたちとなり、周りのものを切り裂く。

「あちゃ〜」

ギラは頭を抱え、

「目立つなと言われているだろ…」

仕方がなく、ギラも飛び降りた。