何もない質素な部屋に通された女は、

丸いテーブルに座る人達に対面した。

どこが上座とかない…円卓は平等を意味していた。


ここへは、友達の誘いで来ていた。

中学時の同級生だ。

結構仲が良かった彼女は…受験勉強でノイローゼになり、高校にはいかなった。

最初は、友達よりも成績が悪かったが、猛勉強の末…一応、進学校に通ることができた。

友達とは途中,険悪になったが、

高校入学後…久しぶりに電話があった。

彼女は語った…。ある人達と出会い、立ち直ることができたと。

あなたを憎んだこともあったけど、今はそんなことはないと。


初めて、友達の成績を抜いた時の彼女の顔を忘れることはできなかった。

だから、少しの後ろめたい気持ちが後押しして、

女はここに来たのだ。

電話があった次の日、ここの場所と一本のビデオが送られて来た。



「さあ〜皆さん!まずは、自己紹介をお願いします」

円卓のそばで、笑顔を浮かべる若い女と、

少し年配の男がいた。


「はじめまして。私は、XX学園の一年…」


次々に、円卓に座る男と女達が、自己紹介をしていった。

ついに、女の隣の男まで来た。

緊張が走る。

「はじめまして!僕は、XY高校の1年…」

その高校の名前が出た時、あきらかに…年配の男達の顔色が、変わった。

「XY高校!」

司会の女も思わず、口にした。

なぜなら、そこは有数のエリート校だからだ。

次は、自分の番だ。

女は、自己紹介をした。

高校名を告げた時、

「ふ〜ん」

と小さな声で、年配の男は呟いた。

彼の興味は、まだ…隣のエリートに向いていたからだ。


そして…自己紹介の後、

女の友達が場を仕切りだした。