数日前、僕はメールを貰った人物に会いに行った。

待ち合わせの場所は、人通りのない路地裏だった。

雨が降っていた為、さらに人通りはない。

細い道に不法投棄されたゴミの中に、女はいた。

「あんた〜なんだあ〜」

女は、少し酔っているようだった。

女はまじまじと、学生服姿の僕を、下から上まで確認すると、鼻で笑った。 

「ほんと…どこでも、来るんだ…。でも、噂と違うわよね…。噂では、絶世の美女って…」

女の疑いの眼差しにも、僕は微動だにせず、

「僕はただの…メッセンジャーだ。普段は依頼者と、そのまま会うことはしません。しかし…」

僕は、女のはだけた服から覗く胸元を、見下ろしていた。

肌の色がおかしい。

僕は、拳を握りしめ、小刻みに震え、

「あなたは、殺してほしいっと…。自分は…」

「そうよ」

女は、両手で胸元をつかむと、ボタンを引きちぎった。

「あたしは、人間じゃない!」

そこあるはずの乳房はなく…花の蕾のような緑色の物体が、2つあった。

「あたしは…人間じゃなくなったの……。あの病院を、裏切らないように…」

女の瞳から、涙が流れた。

「病院?」

「そうよ…び、病院…、ダメ!」

いきなり、女の全身が痙攣し、

「も、もう……あ、あたしじゃ…な、くく」

女の胸元に生えている蕾が、大きくなり、突き出すと、

僕の目の前で、開いた。

巨大な2つの口が、僕に襲いかかってくる。

「病院を……か、か、が患者……た、た、ちを……助けて……」

それが、女の最後の言葉だった。

僕は、襲いかかってきた二本の口を、片手で掴んだ。

二本の口は、燃え上がり……すぐに、女の全身も炎に包まれた。

雨に打たれながらも、炎は消えることなく、

女が灰になるまで、燃え上がり続けた。