一生懸命商品を並べていると、仁志の前に、

誰かが立った。

しゃがんでいた仁志は、お客さんが、聞きにきたと思い、

「はい」

仁志が、立ち上がろうとすると、

お客と思われる男は、仁志の前にさっと、跪いた。

「毎日…ご苦労様です」

男は、頭を下げた。

「え…お、お客様…」

戸惑う仁志に、男は微笑みかけ、

「こんなに…心が弱く…狭い人間に囲まれて…耐え続けるあなたの素晴らしさに、感動しました」

男は、深々と頭を下げた。

「や、やめて下さい」

男の行動の意味がわからず、慌てる仁志の様子に気付き、

店員が近づいてくる。

その中で、一番慌てて、男と仁志の間に、割って入ったのは、店長だった。

「申し訳ございません。お客様…。何かこの者が、ご迷惑を」

腰を屈め、愛想笑いを浮かべる店長に、男はゆっくりと立ち上がった。

店長も立ち上がる。

「迷惑は…」

男は微笑みながら、店長を見た。

そして、

「お前の方だ!」

男は足を上げ、まるで鞭のようにしならせると、

再び床に足をつけた。

すると、

店長の首がスライドした。

「店長…」

屈んでいた仁志の目の前に、店長の首が転がった。

まだ見えてるか…パクパクと口を動かしていた。


男は腕を真っすぐに突き出し、店内にいる店員や、お客を指差した。

「醜い人間どもが…」



女のお客が、悲鳴を上げようとした刹那、男は移動し、首にスネをたたき込んだ。

まるで達磨落としのように、女の首だけが飛んでいく。

「人間の悲鳴は、不快だ…。無言で死ね」

男は、黒いコートを羽織っていたが、

、すぐに脱ぎ捨てた。

すると、男の右足が露になった。

鋭い鎌がついた…義足。

「さあ…今日で、終わりだ。お前達に、未来は来ない」