「何だ?それは」

ドレッシングだけを取り出した鈴木に、同級生の1人が近付く。

「食べ終わってから、出すなよ」


鈴木は、また呟くように言うと、

「僕は、まだ食べてない…」

「はあ?」

余りに小さい声だったので、聞き取れなかった同級生が、顔を近付けた瞬間、


鈴木はドレッシングの蓋を開け、同級生の頭にぶちまけた。

ドレッシングは、しそのやつだった。

「てめえ!」

同級生は、鈴木の胸ぐらをつかんだ。

「いただきます」

少し血走った目を向け、涎を垂らした鈴木の口が、突然突き出ると、大きく裂け、

ドレッシングをかけた生徒を、丸呑みした。

「ぎゃあああ!」

という悲鳴と、骨を噛み砕く音が、鈴木の口の中から、響いた。

「え…」

一瞬のことで何が、起こったかわからない残りの同級生は、唖然として、言葉が出ない。

目の前にいる鈴木は、もう鈴木ではなかった。

巨大な口に手足がついたような…不細工な体躯。

「あんまり…ドレッシングきかないな〜」

そう言うと、鈴木は残りの四人に口を向けた。


「まあ…いいっか」

動きがとまっている四人の目の前に、大きすぎる口が、視界を遮断した。

そして、次の瞬間、四人は口の中にいて、

まとめて、鋭い歯で砕かれていった。