「……はは……ふはははは」

暗い空に浮かぶ三日月が照らす一部屋から漏れる誰かの笑い声。

「本当に扱いやすい王だな、まったく。
女王が亡くなりなんでも家臣に任せるとは、本当いい事件だったよあれは」

ワイングラスを片手にグラスを眺める。

「あれだけ扱いやすいと家臣をやるのも楽でいい」

だって王は何も知らないから家臣は贅沢を尽くす、王には隠して。
城の金をつかって。

「あれ程に馬鹿な王は他にいない」

男は窓から月にワイングラスをかざし

乾杯、と呟き女王の血のような真っ赤なワインを飲みつくした。