「何! 遅れるだろ!」

「遅刻気にするなんて、皆からの見た目じゃ想像つかないね」

彼女はアハハと笑う。


「悪かったな。俺は真面目なんだ。つーかそれだけ?」

「まさか。本当に言いたいことは違うよ」

「じゃー何?」


彼女は少し間を置き、俺を真剣な目で見てきた。


「春樹が人見知りなの秘密にしてあげるから、私とここで話したこと、誰にも言わないでね」

「は? いいけど何で?」

「怖い人と喋る物好きがいるんだって思われたくないから」

「あーそう。つーか、そんなの話せる相手いねえし」

「そうだった」


彼女からはまた笑顔が溢れた。


「優花ってよく笑うよな。笑う顔以外見なかったって言ってもおかしくない」

「でしょ」


そんな会話をして、俺は彼女と別れた。