「春樹、あたしをよく見て」

俺は彼女に言われるがままに、彼女を見た。


「えっ……」

彼女が、薄くなっている。

時々だけど、透けて見える。


「あたし、もうすぐあの世界へ行っちゃうの。だから、春樹にもあたしが見えなくなってきたんだよ」

「そんな……」

彼女ともう話せなくなる。

そう思うと、胸が傷んだ。


「行かないでくれよ……」

俺の一言に彼女は少し驚く。


「駄目だよ、行かなくちゃ。あの世の人達があたしを呼んでるから」

「優花と離れたくない」

俺の目がかなり潤ってきた。

そのせいで、視界がボヤける。


「本当は好きだ。優花のこと大好きだ」

「春樹……」

「でも、優花は幽霊だ。今更好きになったって叶わない恋なんだ」

彼女が好き過ぎて、辛い。