「俺、帰ります」

俺は立ち上がり、おばさんに頭を下げて帰ろうとした。


「来てくれて有難うね」

「いえ」

「優花は沢山の人に愛されて幸せね。きっと、もっと生きたかったはずよ」

おばさんは苦笑いしながら言った。


「優花……、病気だったんですか?」

「ええ、心臓病だったの。今年中には亡くなるだろうって言われてたの」

「そうですか……」

彼女は病気だったのか……。

余命があったんだ……。

なのに何故、死後もあんなに笑顔でいたのだろう。

俺に何か頼んでいたのか?


「またいつでも来てね」

「はい……」

俺はおばさんに見送られながら、ゆっくりと彼女の家を離れた。


明日は彼女と会う日だ。

しかしそれは、最後の日だった――。