「根本春樹だっけ? あいつ何キャラ?」
「昨日から何か変だよな」
教室は俺の話題で持ちきりだ。
「怖い人だと思ったけど、何か良い人っぽい」
「俺ら笑わせようとしてたしな」
「あ、あれやっぱり笑わせようとしてたの?」
自分が話題になるって恥ずかしいが、ちょっと嬉しいな。
今までこんなことなかったから。
その時、教室の戸が開き、委員長が出てきた。
「根本君、みんなが呼んでるよ」
「ほ、本当か?」
「本当だよ。早く」
委員長は俺の腕を無理矢理引っ張った。
俺が教室に入ると、みんな俺を見てきた。
そんなことが今までなかった俺は恥ずかしくなり、下を向いた。
「面白いな、根本って」
「えっ」
顔を上げると目の前にいたのは、クラスで一番元気な原木(はらき)君だった。

