生まれて初めて手に入れた“唯一”に、我はたまらなく溺れていく。 その甘美な感情に自制など利くわけもなく、我はただ呑まれていった。 「―――燈め、ここぞとばかりに小言など…」 そうぼやきながら、我は菜々美の寝かされている部屋に向かっていた。 燈の言い分は尤もだ。 傷を負い、ようやく目覚めたばかりの菜々美に無茶を迫りのぼせさせてしまうなど普段の我なら絶対にしない。 (しかしだな、) …抑えが効かなかったのよ、と一人ごちて我は先程の情景を思い出していた。