ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-






それから数分後、背後で桶を床に置く音が響いた。
その音に続いて、何かが湯船に入る音。…それが愁だと気づくのにそう時間はいらなかった。


湯気のせいで愁がどこにいるかいまいちわからない私は、とりあえず声を張り上げて抗議を始めた。



「な、…なにしてんの!?」


「何って。―――わからぬか?風呂に浸かりにきたのよ」


「だからって、なんでわざわざ私がいるときなのよ!?」


さも当然といった様子で答える愁に少しイラっとしながら私がそう問いつめると、目の前からにゅっと手が伸びてきて。



「………少しでもぬしのそばにおりたいのよ」