ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-






そんな声で言わないで。
そんな風に、自分で自分を傷つけないで。


…よくわかんないけど、愁のそんな姿は見たくないのよ。
こんなときだからこそいつもの愁でいてよ。






「…愁は悪くない!」


ぐるぐると頭の中をいろんな感情が占めていく。
混じり合わないそれらが爆発して、私はつい声を荒げてしまった。



「…菜々美」


「愁は悪くない!愁は私をちゃんと助けてくれたじゃない、なのになんでそうやって自分を卑下して、勝手に落ち込んじゃうの!?」


「―――菜々美、」