(…毒) その言葉を何度も頭で反芻して、そのたびにそのときのことを思い出してしまう。 薄れていく意識。 自由の利かない身体。 …怖くない、とは言えなかった。 私は愁の顔が見れなくなってそっと視線を畳に落とした。妙な後ろめたさにいたたまれなくなってくる。 (…愁) 何か言いたい。でも言えない。 ―――愁は悪くない、って言いたいのに! 「我らは所詮、獣よ。他者を殺めることも、傷つけることも厭わぬ獣。…軽蔑されるとて何も言えぬ」 沈黙を破る愁の声に私は泣きそうになった。