さっきまでは怒っていたのに、今はこの腕に安心してしまう。
そんな身勝手な自分に恥ずかしくなるけど、それでも背後から感じる彼の体温が私を安心させていってくれた。
強ばっていた私の身体から力が抜けていく代わりに震え出すのを、愁は背中から包み込むように抱きしめてなだめてくれる。
「ぬしも案外愚かよな。わからぬなら今ここで申してやろう。―――我が欲するのはこの人間のみぞ」
そう言いながら私の顎を持ち上げ上を向かせると、覆い被さるように口づけを落とす。
愁の長い髪が私の頬を撫でながら落ちていく。カーテンのように私たちの顔を隠すそれの内側で、愁はそっと唇を離した。
そうして、ふっとほほえむと誰にも聞こえないように囁くのだった。
―――“何も心配いらぬ。我が守る”と。

