「………あなた、愁様のお気に入りの人間ね?」


そのとき、しゃがみ込み顔を伏せていた私の頭上から女の人の声がした。


私がそっと顔を上げれば、そこには金髪で黄金色の瞳をした美人さん。
初めて見る彼女の容姿に魅入っていると、彼女は私を見下ろしながら話し出した。



「ふぅん。愁様が入れ込んでるって話だからどれほど美しいのかと思ってたけど大したことないわね」


「………どちら様ですか!?」


いきなりけなされて怒らない人はいないだろう、と私が思いっきり敵対心むき出しの声を出すと彼女は馬鹿にしたような態度をとる。



「私は雛。…愁様の婚約者候補といったところかしら?」