『今日はな、俺が先に帰っててって謝ったら、菊花が待つよ?って言ってくれたんだ。』 ――…あ。 『また教室で待たなくちゃならないのに……トラウマがあるのに……そう言ってくれたんだ。』 何て嬉しそうな声で話すのだろう? 私には何気ないやり取りでも秋にとっては違ったんだね…… そうやって毎日、私のことを家族に話していたの? お姉さんは私を見て優しく微笑んでいた。