メルラバ

小さく手を振って、秋に背を向ける。


1歩、2歩

歩いたところで、不意に呼び止められた。

「唯」
「ん?」

振り向けば2歩の距離を秋が1歩で詰めて、もう一度「おやすみ」と告げ、あっという間。


憎らしいほどの素早さで、私の頬にキスをひとつ。

「~~~っ」
「ははっ、俺を困らせたバツ」

そう言って耳まで真っ赤な私をからかうように笑う。

「ばか」

『バツ』じゃなくて『ご褒美』の間違いでしょ。