メルラバ

不意にキイッと車が停車し、着いたのかな？と、ゆっくり視線をあげれば目の前には東京のパノラマが広がっていた。


坂道を登り続けた【Cherokee】は暫しの休息とばかりに、主（あるじ）と私を乗せて静かにしている。

夏の夕暮れは、きっと季節の中で一番美しい。

ラベンダー色の空には姿を現しきれないお月様が、黄色く色づかないままに白く浮かび、太陽との交代を待っている。


今にも溶け出してしまいそうなオレンジ色の夕陽は、空のパレットを好き放題に染めあげ、紫・青・赤それから黄色、何色ともつかないグラデーションで闇に呑まれてしまう前のひとときの競演を楽しんでいるみたいだ。