夏の夕暮れ、空に浮かぶ大きなオレンジが、秋の黒髪を照らしている。

少し温度を下げた風が、私の首すじを吹き抜け、秋がくゆらす煙草の紫煙が辺りにゆらりと舞った。

「何してんの?」

私の声に秋が振り向き、携帯用灰皿に煙草を押し付けた。

その顔はとても険しく、眉間に刻まれた深いシワが、秋の苛立ちを顕著に物語っている。

「そっちこそ何してんねん。メールもよこさんし、電話もなかなかでぇへんし…
俺、ちょっと怒ってんねんで?」

はぁー、と溜息をついて、秋が困ったように髪に指を突っ込む。

秋の愛車【Cherokee】を間に挟んで、2人目を合わせることも出来ず黙り込む。