「アキトさんちの周りで記者が張ってるかもしれませんから、これ。俺んちの鍵です」

これと、楡川さんが私に鍵を放り投げる。

「狭いですけど一応マンションです。部屋にあるもの、なんでも使っていいですから」

「え、でも…楡川さんは?」

「俺はジンちゃんちに泊まります。合鍵持ってるんで」

「ごめんね。楡川さんには、いっぱい迷惑かけちゃって」

「いーんですよ。でも…ほんと、こんなの先輩じゃなかったら速攻置いて帰ってますよ」

こんなのと楡川さんが秋を軽く睨む。
だけど、当の本人は完全に夢の中だ。